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2014年6月6日金曜日

京都で思い出した銭湯の思い出

京都にいる時は毎日銭湯に通った。毎日色んな銭湯を試して回った。

行きつけの飯屋、接骨院、クレープ屋さんも出来て、本当にその町に暮らしている感覚がして居心地が良くなったいった。

ただの旅行ではなく、働きながら一ヶ月暮らすと感覚も全然違って面白いなー。

中でも特に気に入った銭湯はずっとお世話になったゲストハウスに近い「長池湯」だった。

入った瞬間に感じた懐かしさ。

これはやばいと思った。

そこはいつか見たあの空間。

ぶら下がり健康器は何年ぶりに見たかな。

お湯と水の蛇口のセット、水の出の悪いシャワーにケロリンのオケ。

そこは地元に昔あった銭湯、「しす湯」にそっくりだった。

ちょっとだけ涙が出そうになった。


僕は小学4年生まで風呂のない家で育った。

ものすごいボロい木造建築で、ぎぃぎぃ言うし、ネズミもしょっちゅう走り回っていたのを覚えている。

ちなみにトイレも一旦外に出なければ行けないというなんだか僕の世代にしては珍しい環境だった。


だから、銭湯に毎日通っていた。

赤ちゃんの時から10歳まで銭湯通いだった。

10歳まで銭湯だから、少なくとも3000回以上はいったんだろうか。

雨の日も雪の降る日も、面倒くさいなーと思いながら毎日通っていた。

銭湯に行くのが当たり前だと思っていた。

今思えば贅沢で、季節のお風呂があって、しょうぶ、みかん、柚子とかがネットに入って浮かんでいた。

じいちゃんや親父の背中をよく洗ったのを覚えている。

じいちゃんは確か塩で全身洗っていた。


刺青の入った指のないおっちゃんに可愛がってもらったのも覚えている。

銭湯のはしっこでおしっこしたのも覚えている、、、おばちゃんごめん、、、


あと小学三年生ぐらいまで、気が向いたらママンと女風呂に一緒に入っていたのも覚えている笑

たまーに同級生に遭遇して、気まずい思いもしたりして、、、

その女の子には大人になって再開した時、マーシーが銭湯にいて嫌やったと言われて、、、笑





仲の良い友達ともみんなでよく銭湯に行った。

ぶら下がり健康器でこれでもかとけんすいして、女子側を覗こうとして、おばちゃんに怒られたりした。

そういえばみんな僕の家に風呂がないのを知ってたんだろうか。

自分がどう感じていたのかも思い出せない。

当時はたぶん当たり前だと思っていた生活が、僕の世代では レアだったことに気づいたのはいつだっただろう。

思い出せないけど、全く気にせず、卑下せず、すくすくのびのび成長できたのは田舎で育ったおかげだろうか。

田舎は生活水準に大きな差がないように、表面上はみえるから。


育った環境が人に与える影響は本当に大きい。無意識の習慣もそうだ。

だから、僕の人見知りしないオープンな性格は、銭湯育ちで、色んな人に可愛がられたことから来ているかもしれないと、勝手に思ったりもする。



そんなこんなで僕は銭湯には特別な思いがある。銭湯にいくと心がほぐされる感じがする。



その後、親父が頑張って新しい家を建ててからは、家族別々に風呂に入る生活が始まった。

家の風呂場にはプライバシーがあって、ゆっくり出来るのは素晴らしいと思ったのを覚えている。

新しい家が出来てからは、家族で銭湯には一度も行かなかった。


綺麗な家になって日々の生活も豊かになったと感じた。

実際にそうだったし、バブル後に育った世代ではあまりない、「豊かになる」ということを実感させてくれた両親に、本当に感謝している。

当時は何となくボロい家が恥ずかしいという思いもあったし、冗談でお化け屋敷と言われたこともあった。

気にしてなかったけれど、今でもまだ覚えているということは、子供なりに傷ついてたんだと思う。


だから新しい家が建った時は、本当に嬉しかった。

その年の文集に新しい家について書いて、「僕の新しい家は高級ホテルみたいです」と書いてある笑 


高級ホテルが何なのかもわからない10歳児の書いた文章を両親も気に入ったのか、探すと出てくるのはその文集だ。




でも京都にいる間は古い家のことばかり思い出していた。

なぜだろう。

今の生活からかけ離れているからそう感じるだけなのか。

大人になって多様な価値観を受け入れられるようになったからなのか。


もしかしたら、京都で古い建物をたくさん見ていたからなのかもしれないし、


京都に流れるゆったりとした時間のおかげかもしれない。

よく考えたら大好きだったばあちゃんは90歳近く
まで銭湯に通っていたことになる

新しい風呂には一人で入っていた。その時どう感じたんだろう?


今思えば聞いておけば良かったな。


今はあの生活が懐かしく、大切に感じる。

IIYO